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 第36回神戸市子ども会連合会 中央会議  記念講演  要旨 
    「地域と家庭で子どもを育てる」 

 
 講師 山中 睦夫 全国子ども会連合会 会長  
     平成21年2月22日 午後開催 神戸市婦人会館にて    
 
    

1 はじめに
 先ほど表彰を受けた子どもの輝いた表情、子どもの笑顔にほっとした。素朴に、良いな!と思える子どもたちの輝きを求めて、我々は活動している。
子ども会のキャンプで台風の中、下級生をかばう上級生の姿に出会った。子供同士の自然な美しい輝きがあった。雨が降りだしたら干したままの布団を勝手に取り込んでくれる近所のおばさんがいた。ご近所の人間関係のありがたさを思った。
共に生き、共に育ち、ご近所で助け合い、ご先祖に恥じない生き方をする、といった心を子どもに教えることが大切だと思う。
子どもに対する犯罪も報道されている。人に対する社会の関心が薄くなるところから、犯罪の多い社会になる。身近な落書きを消すことが、重大犯罪の防止に効果があるそうだ。ほどほどにせず、みんなで徹底的にすることで、効果が上がる。
互いに自身の生きる実感を持ち、誰しも存在を認め合い助け合うように、地域全体の考え方を変えていくべきだと思う。
昨年11月の指定都市神戸大会は盛大に開催された。この2月に全子連広島大会が開催された。分科会の討議などでは、繰り返し掘り下げが必要である。全員に発言機会を増やせるよう、グループKJ法・ワークショップの手法を使うと良い。大人も子どもも、自分で考えること、意見の多様性こそ大切である。
神戸の独自の取り組みとして、CO2削減・もったいない運動・早寝早起き朝ごはんなどを伺った。これらは、甘えた現代社会に対する警鐘であり、全国的に必要なことを、先駆けて取り組んでおられると感じた。

 
2 今、子どもたちは 〜地域・家庭で
 子どもは、家庭、学校、地域の活動の中で、日常の生活体験を積みながら、人間として必要なものを学んで育っている。
 家庭では、子どもに、命の大切さを、親子で話し合い、ありがとう、すみません、という「感謝の心」「反省の心」を持たせることが大切だ。親は、子どもが学校から帰れば、今日はどうだったか、それは良かったとか悪かったねと話し合い、ほめたり叱ったりしてやる、親身に関わっていくことが大切である。
 また、地域では、地域活動に参加して、人と人とのふれあい、仲良く楽しむ体験を共にしていくことで、親子共に育つことができる。
子どもたちは、いま、地域・家庭でどうしているだろうか。
家族・地域の連絡も無い時、都市部での孤独死という現象がある。発見された孤独死の親を関係ないから連絡しないでくれという人がいる。それを聞いている子どもは親を放置してよいのだと教育されていることになり、恐ろしいことだ。自分の快楽だけを求め他人はどうでも良いという考え方の人が、30―40代の親に多いが、これでは子どもも良く育たない。親子共に、よりよく育たねばならない。
一方、親がいなくても子どもは育つ、福祉が子どもを見てくれる、という面もある。親と子の絆が弱い所を、地域社会で補っている。
近所の人が、親や子をさとす、という地域の深い人間関係が望まれる。子育ては、地域全体の課題である。
 
3 人としての基盤をつくるために 〜子どもを育てるということ
子育てに必要なのは、子どもに生きる基盤となる心を作ることである。長期的な視野で成長段階を見て育てなければならない。
子育てについて、もっと皆でムキになって考える必要がある。
子どもに完全主義を求めるという傾向が30―40代の親には多い。親が完全でないのに、子どもにだけ完全を求めて、成功の目標値しか見ない得点主義に縛られ、苦しんでいる。親にじっくり子どもを見るゆとりが無い。これでは親子の人間関係が砂漠のようだ。
 子どもの良いことはほめ、悪いことは叱ることが大切である。
親子でも地域でも、もっと当たり前の人間としての関係を深めなければならない。日常の人間関係作りを、国民運動にしたい。子どもの輝く笑顔を町中に拡げたい。明日への希望がわいてくる世の中にしたい。我々には夢がある!(キング牧師)、変革できる!(オバマ大統領)。

 
4 子どもの日常とは 〜子ども会活動の目指す日常性の意義
日常的な関わりの中で、子どもたちを人間として育てていくことができる。日常生活の中で、人として必要なことをバランスよく教える。日常の家庭・地域で、親子とも自然に学びあいができる。
そのための有効な方法のひとつが、子ども会活動に積極的に参加させ、いろいろなことを体験させることであり、さらに子ども会のリーダーになっていくよう希望を持たせて育てることである。
大人が考えるだけでなく、子どもどうしでも考えさせることが必要である。子ども会活動で、忙しいため、つい大人だけで考え企画してしまうが、たまには子どもたちに考えさせ企画すべきだ。急ぐのがすべてではなく、考えさせる過程にこそ意味がある。
子育ての方法は、反省しながらすることが必要だ。親は反省したくないものだが、子育ての仕方を観察分析し、自分自身も反省しながら変えていく、子育てしながら親も育っていくことが大切である。
子どもの輝きは、感性であり美意識である。素朴な感情を認めて育てることだ。
体験させるところから感性が生まれる。理屈だけでなく実践させる。包丁の使い方でも、家で体験させていないことをリーダー研修などで実践し、親子の絆も深めていくのだ。
キャンプ、ゲーム、竹とんぼやこまの工作や絵画展など、ひとつひとつの活動に取り組むことで自然に、子どもたちに自分の文化を創り育てることに繋がっている。
子ども会の運営やゲームなどの指導書は多く出ているが、地域ごと個人ごと、個性に応じて選択し有効な形で実行する必要がある。
生きる実感や存在感を育み、誰しも存在を認め合う心を養う。そのために、ひと手間余計にかけることが有効なのだ。子ども自身を見ない得点主義や、個人差を認めたがらないのはだめである。個性と発達段階を見ながら、日常生活の中で、人間として育てていこう。

 
5 共に生きる
共に育てるとは、子どもも大人も共に生き、共に育ちあうことだ。大人は、子どもの育ち方を見て、自らも反省し成長することができる。お互いの声に、耳を傾けあう。互いに「おかげさまで」という気持ちが大切である。助け合い共に生きる、地域社会の人とも触れ合うおかげで向上できた、という生き方を共に学びたい。
一方、自身の主体性としては、この世の中は私が頑張っているから良い世の中になっていくのだ、というくらいの気概が必要と思う。
国際化、グローバルの時代だが、国語や日本文化もよく知ったバランスの取れた国際人に育ってほしい。アラビア語で日本の歌を歌い現地に紹介した人がいた。地域での子育ては、土の香りのする本物の国際人を育てたい。
子どもの輝きをすぼめさせていく環境もあるのが現実だが、我々は、明日へ向けて、子どもの輝きを倍増して拡げていきたい。

 
6 全国子ども会連合会が目指すもの
 全子連が目指すのは、次代を担う子どもたちを輝かせるよう日常の地域生活で共に育てることを国民運動としていくことと、子ども会の現場で活動した人が、汗をかいた値打ちがあったと思えるよう、子ども会活動への支援体制を充実させていきたい、ということである。これが日本の考え方となるよう運動していきたい。
「有露地より無露地へ帰る一休み 雨降らば降れ風吹かば吹け」という一休禅師晩年の歌がある。生きている間に、ひとつの信念を持って進めたらよい。子ども会活動で、我々も、次代を担う子どもたちの輝く姿のために、信念を持って活動を進めていけたら有難い。連続性から未来へ、人は変わる。今後も共に育ち、共にがんばろう。

 
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